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2010.06.12
サルでもわかって欲しいカメラ原理講座: #01 焦点距離と画角
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カメラとレンズの仕組み・原理のお話を光学と電子技術でなるべく簡単にまとめてみようというこの企画。
前ブログでも、そこそこ好評だったようなので、ちゃんと復活させて続けていこうとおもいます。
動機は、最近、(中学高校レベルの)最低限の幾何光学の知識がないままカメラやってる方が多いなぁ、幾何光学を感覚的じゃなく理論的にちょっとでも知ってると撮影の可能性がものすごく広がるのになぁ、と思い込んでしまったというのが発端。
ですのでカメラ初心者の方だけでなく、カメラをなんとなくやってる方が主な読者対象です。詳しすぎる方はご遠慮ください。ボロがでまくりですので。
サルでもわかって欲しいカメラ原理講座 目次
第1回目の今回は、焦点距離と画角について。
カメラで撮影するときには広く写したいときは広角レンズ、遠くのものを写したいときは望遠レンズをつかっていることと思います。それ以上に、焦点距離の違うレンズで主被写体が同じ大きさで写るようにセッティングしても、背景の写る範囲が違う(広角レンズは背景が広く写り、望遠レンズは狭い範囲が写る)ので、撮影意図を反映させるために、最初に考えるのがレンズの焦点距離の選択ではないかと思います。
ですので、焦点距離はなんとなくわかっているとは思いますが、焦点距離って何?って聞かれると困る方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ということで、簡単な絵と数式でお話してみます。
焦点距離、というよりレンズそのものを説明するときに避けて通れないのは、いわゆる「レンズの公式」。これがないと話が始まりませんので、いきなりの数式で申し訳ありませんが、耐えてください。中身は小学校レベルの算数ですので、そんなに難しくはないと思います。思いましょう。
レンズの公式は上の図のように、理想レンズが1枚あったときに、レンズ両面に対応する焦点が焦点距離fとどういう関係になるかという式です。レンズの中心を主点といって、そこからの距離がa(cm) 、b(cm)離れているところで焦点が合う場合、レンズの焦点距離fは1/f=1/a+1/bとなるものです。一般的な円形レンズで投影・結像された像は、もとの像とは上下左右が鏡像(反転した像)となります。それはレンズの主点を通して結像するという特性のためです。
また、このa、bの長さを適当に変えることで結ばれる像の大きさを大きくしたり小さくしたりもできます。
さて、カメラレンズの焦点距離とはどういう関係にあるのでしょうか。
一般的にはカメラレンズの焦点距離は50mmとか28mmとかが設定されています。例えば、デジタル一眼レフのキットレンズなら24-105mmのズーム、APS-Cデジタル一眼レフだと17-70mmズーム、コンパクトデジカメだと5-20mmとかに設定されていますね。これらの数字は、実は、上のレンズの公式と同じ定義の焦点距離です。もっと詳しく言うと、無限遠焦点時のレンズ主点からフィルム面(デジタルカメラならCCD・CMOS面)までの距離が焦点距離に相当します。
つまり、上の図のようになるわけです。
ただし注意が必要です。一般的なカメラレンズではレンズを複数枚使ってレンズ一式が構成されています。でも、レンズ一式を1枚のレンズとして考えることが(数式上)できるので、ここでは便宜上1枚のレンズで表します。
つまり、無限遠に焦点(フォーカス)位置を持っていったときに、本来のレンズ焦点距離になります。ズームレンズ等の一部では、フォーカス位置によって画角(後で説明します)が変わるものもありますが、無限遠焦点では、本来の焦点距離の画角になるわけです。
さて、焦点距離が長いと「望遠レンズ」、短いと「広角レンズ」と呼ばれますが、それは下の図のようになっているからです。
焦点距離が長いと、フィルム面と主点の距離が大きくなります。ですので、結像出来る角度が狭くなります。逆に焦点距離が短いものは広い角度でフィルム面へ結像することができるようになります。この映る範囲のことを一般的に画角といいます。広角レンズは画角が広い、望遠レンズは画角が狭いということです。
どうして焦点距離が短くなると画角が広くなるのでしょうか。原点に立ち戻って考えてみましょう。
倍率の高い虫眼鏡と倍率の低い虫眼鏡の違いを考えてみてください。倍率の高い虫眼鏡は、焦点距離が短く、倍率の低いものより分厚いはずです。分厚いということは、光の屈折する度合いが大きいということ。つまり、屈折が大きくなるので広い範囲のものを小さいフィルム面に結像することができるわけです。逆に光の屈折する度合いの小さい、倍率の低い虫眼鏡(長焦点距離レンズに相当)は、あまり光が屈折できないので比較して狭い範囲のものしか結像できないのです。
画角はほかにどういう因子で変わるのでしょうか。
それは、撮像面(フィルム、CCD)の大きさで変わります。一番わかりやすいのは、デジタル一眼レフの場合、APS-CサイズCCD採用モデルと35mmフルサイズCCD採用モデルで、同じ焦点距離のレンズを使っても画角が変わるという現象でしょう。APS-Cサイズの場合、キヤノンは実焦点距離を1.6倍した焦点距離の画角で写りますし、ニコンやソニーの場合は1.5倍という倍数をかけなければいけないというものです。
上の図でもわかるように、撮像面(フィルム面、CCD面)の大きさが変わることで写る範囲が変わることがわかると思います。たとえば、人間の目とほぼ同じ画角といわれる35mmフィルムでの焦点距離50mmのレンズ。APS-Cでは75mm相当の画角になりますし、中判の6x7ですと25mm相当の画角になります。ですので、同じ画角にするためには、APS-Cでは35mm程度、中判(6x7)では100mm程度のレンズを使えば35mmフィルムサイズの焦点距離50mmレンズを同じ範囲を写すことができます。でも実際のレンズの焦点距離が変わるわけではありません。焦点距離が100mmならば、100mmのパースがかかります。パースについては、また後日お話予定です。
けっこう駆け足になりましたが、焦点距離と画角のおさらいはできましたでしょうか。
要点は
- 焦点距離とは無限遠焦点にした時のレンズ主点とフィルム面の距離
- 画角は焦点距離だけでなく、撮像面の大きさにも依存する
というところです。他は覚えなくてもOKです。
次回は焦点距離と絞りのお話です。
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